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COVID-19感染拡大に伴う建物の閉鎖・使用停止の解除後にレジオネラ肺炎が発生する危険性

 COVID-19感染症のパンデミックにより経済活動を止めることを余儀なくされ、多くの建物(ビル)は閉鎖され、あるいは使用されなくなった。この間、建物では水道が使われることはなく、貯水槽や貯湯槽あるいは配管中の水は滞留していた。本来、水道水や給湯水の微生物学的安全性は塩素や55℃以上の温度により担保されている。しかし、水が滞留することで塩素は消失し、温度は低下する。それに伴って給水・給湯系のあらゆる設備の内壁の表面にバイオフィルムが形成される。バイオフィルム内ではヒトに病原性を示すレジオネラ属菌も増殖する。レジオネラ属菌は水環境に広く分布する細菌で、ヒトがレジオネラ属菌を含むエアロゾルを吸い込むと肺炎(レジオネラ肺炎)や風邪様症状(ポンティアック熱)を発症する。

 全国に発令されていた緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開されるようになった。これに伴って使用されていなかった建物での活動が始まり、水道を使うようになった。ここで注意しなければならないのは、使っていなかった期間にレジオネラ属菌が増殖している危険性があるということである。厚生労働省は5月13日に都道府県等に対して「施設の使用再開に伴うレジオネラ症への感染防止対策について」という通知を発出した。この通知では公衆浴場、遊泳用プール及び特定建築物の休止後の再開時にレジオネラ症への感染防止対策として、必要な衛生管理や点検、その他の措置を講ずることを求めている。対応の仕方は建物あるいは配管等の状況(規模や使用年数など)や使用していなかった期間により異なるが、必要に応じて使用前に水質検査を行い、飲用に適していることを確認することが推奨される。また、フラッシングにより給水・給湯系に滞留した水を新鮮な水に置き換え、遊離残留塩素濃度や給湯温度が設定されたレベルにすることが重要である。

バイオフィルム:水中の固いもの(固相)の表面に細菌が付着して増殖し、膜状になったものがバイオフィルムあるいは生物膜と呼ばれている。身近なところでは歯垢や流しのヌメリなどがある。

関連するサイト

厚生労働省(レジオネラ対策のページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

Hospital Water Hygiene研究会 https://fs.lck-cloud.jp/u13673/

米国疾病予防管理センター(Guidance for reopening buildings after prolonged shutdown or reduced operation)

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/php/building-water-system.html

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