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サスカチュワン大学獣医学部(カナダ) 出張報告

このたび、本学国際獣医教育研究センターの海外教員派遣事業より支援を受け、2024年10月21日から10月25日にかけてカナダ・サスカチュワン大学(University of Saskatchewan)を訪問いたしました。今回の訪問は、同大学松山助教授との既存の共同研究の進捗確認と今後の方針に関するミーティング、同大学獣医学部や附属動物病院の教育・診療体制の見学、さらには大学間連携(交換留学や共同研究など)に向けた意見交換を目的として実施いたしました。

訪問先であるサスカトゥーン市は、サスカチュワン州最大の都市で、気候は冬季に厳しい寒さとなりますが、多文化的で活気のある街です。今回訪問したサスカチュワン大学は1907年に創立された歴史ある総合大学であり、その獣医学部(Western College of Veterinary Medicine;WCVM)はカナダで5つしかない獣医大学のひとつです。附属動物病院(Veterinary Medical Centre;VMC)は、専門診療を担う先端的な二次診療施設として機能しています。

10月20日に松山空港より成田空港、バンクーバー国際空港を経由してサスカトゥーン空港に到着いたしました。翌10月21日にはWCVM内の教育施設(実習室、講義室、研究室)およびVMC各部門の見学を行い、同大学の教育・診療体制について学びました。VMCは、各科に専門医の指導のもと2-3人のレジデントと5-6人のインターンが所属しており、日本人が比較的多くいたことにも驚きました。その後、共同研究者である松山先生と、進行中の研究プロジェクトの進捗状況および今後の研究計画についてディスカッションしました。

10月22日にはVMC腫瘍科(Medical Oncology)における診療現場を見学し、症例の診断や治療プロセス、診察のシステムについて学びました。VMCの特徴として、放射性同位体を使用した内用療法やPET検査を積極的に行っていたのが印象的でした。また、北米の動物病院全体に共通することかと思いますが、動物看護師の業務の範囲が非常に広く、検査に伴う鎮静・麻酔の処置や抗がん剤投与なども看護師が担当していました。

10月23日には医学部内のシークエンスコアラボおよびGlobal Institute for Food Securityが運営するシークエンス施設を見学し、次世代シーケンシング技術やその運用体制について有益な知見を得ることができました。同日はさらに、VMC病院長のDr. Stephen Manningとミーティングを行い、本学獣医学部の教育内容や研究活動、学生派遣の取り組みについて紹介いたしました。そのうえで、交換留学や共同研究を含む大学間連携の可能性について意見交換を行い、交換留学については学生の受入・派遣の双方に高い関心が示されました。

10月24日にはVMC放射線科(Radiology)を訪問し、X線、超音波、CT、MRIなどの画像診断業務を見学いたしました。ここでは、専門医によるインターン・レジデントへの教育体制が非常に充実している点が印象的でした。教育の現場は終始ポジティブな雰囲気に包まれており、専門医からの教育への熱意とインターンやレジデントの学習意欲の双方が非常に高いと感じました。また、すべての診断レポートが専門医によってチェックされているとのことで、教育的な質の担保に力を入れていることが伺えました。この体制により1件あたりにかかる時間は比較的長く、診療件数自体はそれほど多くありませんでしたが、その分全体的に丁寧な診療と教育が行われている印象を受けました。こうした取り組みは、教育効果という観点では非常に有意義であり、本学にとっても参考になる点が多いと感じました。
 10月25日には松山先生とのフォローアップミーティングを予定しておりましたが、体調不良により宿泊先にて休養いたしました。帰国は日本時間10月26日に現地を出発し、トロント国際空港・羽田空港を経由し、10月28日に松山空港へ到着いたしました。

最後になりましたが、改めましてこのたびは貴重な訪問の機会をいただき、誠にありがとうございました。今回得た知見や経験を学内でも共有しながら、今後の交流も少しずつ形にしていければと考えております。サスカチュワン大学との新たなつながりが、学生や教員にとってよりさらなる学びや成長の機会となることを心から期待しています。

報告者
獣医学部 獣医学科
 助手 吉竹涼平

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