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国立台湾大学、国立清華大学(台湾) 出張報告

日程 2025年2月26日~3月2日(5日間)
訪問先および住所
 国立台湾大学
  No. 1, Section 4, Roosevelt Rd, Da’an District, Taipei City, Taiwan 10617
 国立清華大学
  No. 101, Section 2, Guangfu Rd, East District, Hsinchu City, Taiwan 300

はじめに
国立台湾大学の黃威翔先生(Dr. Wei-Hsiang Huang)と3年ほど前に欧州獣医病理学会で知り合ったことが契機となり、今回の訪台が実現した。今後、岡山理科大学(以下、本学)獣医学部学生および教員の台湾獣医界との交流が深まることを心より祈念する。松山空港から台北へ直行便(週2~3回、片道2時間程度)があるため、本学獣医学部にとって台湾が非常に身近な「海外」であることも、大きな魅力・利点と言える。

国立台湾大学
首都台北にある国立台湾大学は、日本統治時代に設立された台湾トップレベルの総合大学である。同大獣医学部は欧米の獣医学教育法を一部取り入れ、卒業後に国外の大学院に多くが進学し国外で大学教員や研究者になる例も多いそうで、わが国よりも獣医人材の国際志向が高い印象がある。こういった空気に触れることで、本学学生は、外国で獣医師や研究者のキャリアを積むことについてより想像がしやすくなるのではないか。

国立台湾大学の椰子並木

獣医学部の一番古い建物の入り口

同大獣医学部分子・比較病態生理学講座にて病理学や法獣医学を専門に研究・教育されている黃威翔先生は、台湾で現在最も有名な若き獣医法医学者であり、昨年の台湾版TED Talkに登壇・講演している。獣医法医学は日本の獣医学教育において近年カリキュラムに加えられているため、日本に先んじて様々な取り組みをされ経験を積まれている黄先生から学ぶことは非常に多い。獣医法医学に興味のある学生や教員は、是非黄先生と連絡を取るとよいと思う。黄先生は日本旅行がお好きで、日本の獣医界において人脈が豊富なため、日本人にとっては大変ありがたい存在である。今回の訪問では、黄先生に、同大における重要人物との面会および意見交換会の設定、獣医学部内の施設の見学の調整、大学院生や学部生対象の講義の聴講など、非常にお世話になった。あらためてここに謝意を記す。

獣医学部長の蘇璧伶先生(Dr. Bi-Ling Su)と面会した際には、本学の詳細を紹介し、今後の交流に前向きな回答を得た。同大は既に東京大学、北海道大学、岐阜大学等と学術および人的交流を行っているそうであるが、本学の大学院、さらには愛媛県や今治市という立地にも興味を示しておられたので、今治キャンパスへ、国際的な講演者としてお招きするのがよいと考える。

同大の陳慧文先生(Dr. Hui-Wen Chen)には、学内の最新式の実験動物管理棟を案内していただき、国際基準に準拠した研究を精力的に進めている様子を目の当たりにした。京都大学など、日本のトップレベルの研究機関との学術交流も豊富だそうである。もし専門分野が該当するのであれば、本学の教員や学生も見学や共同研究を考慮されるとよいと思う。

台湾大学訪問の最後に、大学院生や学部生が対象の講義(獣医画像診断学、獣医法医学)を半日間聴講させていただいた。台湾語のスピーチと英語のパワーポイントだったので、英語から辛うじて内容を理解した。学生はよく集中して講義を聴く一方、挙手しての質問はそれほどなかったのが印象に残った(欧米では学生からの質問が非常に多い)。外国で行われている獣医学の授業に参加すると、日本のそれとの共通点や相違点が多々みえて、非常に刺激を受けると実感した。

台北の街は東京に似て非なるエキゾチックな味わいを醸し出しており、治安は良く、安全に外出できた。観光施設のみならず博物館や公園、ショッピングセンターなど、息抜きができる場所が多数存在し、非常に快適な街であった。

動物の法医解剖室の様子

講義の様子

国立清華大学
台北から80kmほど離れた新竹という中規模の街にある清華大学に獣医学部はないが、台湾では台湾大学に次ぐ科学分野の名門校とされている。同大の生物科技研究所に所属する竹馬俊介副教授(日本人、三井の北海道大学獣医学部の同窓生)を訪ね、同大の研究や国際交流の実情を伺った。同研究所では、80名近い教員の大半が台湾人で、女性は半分ほどを占めているそうである。研究内容は多岐にわたり、一流科学雑誌に掲載されるような研究を行う研究者が複数いらっしゃるとのことであった。

清華大学訪問の最大の収穫は、竹馬先生から教えていただいたInternational Internship Pilot Program(https://iipp.tw/#)という、台湾への短期留学を希望する世界の学生を支援するプログラムに関する情報である。このプログラムを通じて金銭的支援が台湾政府から得られ、学生は安価な短期留学が可能となる。このプログラムを是非本学の学生も積極的に用いて、台湾大学や清華大学をはじめとした台湾の各大学へ、長期休暇を利用して短期留学してはどうかと思う。台湾は、国土は日本よりも狭いものの、人材への投資が活発で、それが国の力を高めているようである。教育をツールとした国力の増大、多様化への取り組みは、わが国、本学にとっても、大いに参考になると思われる。

新竹の街には、人で賑わう寺院や商店街があるかと思えば、自然豊かな動物園が中心部にあったり、海が近かったりし、台湾の風土の幅を知ることができた。台北から新竹へのアクセスはやや不便で、バス、電車、タクシーのいずれかを用いる。

清華大学の正門

竹馬俊介副教授

おわりに
 身近な外国である台湾では、国の力強いサポートのもと、多くの獣医人材が活発に外国とやり取りをしたり、社会のニーズに合致した研究に取り組んだりしているように感じられた。日本と同じ東アジアの国である台湾の、フレキシブルな先進性がまぶしくも感じられた。本学の学生や教員には、是非こうした隣国の熱気に触れていただき、よいフィードバックを本学に還元していただければと願う。

末尾になりますが、本出張をサポートしていただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。また、ご一報くだされば、喜んで側面支援をさせていただきます。

報告者
獣医学部 獣医学科
解剖学講座 三井一鬼

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