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フィリピン大学獣医学部訪問報告

2019年6月に同講座の渡辺准教授がフィリピン大学ロスバニョス校(University of the Philippines Los Banõs)(UPLB)を訪問したのに引き続き、2020年2月28日から3月4日にかけて同校を訪問いたしました。フィリピン大学獣医学部の説明については、既に渡辺先生の報告書に記載されているため、割愛させていただきます。

 6月の訪問の際には学部間交流協定についての打診が主たる目的でした。しかし、その際ご対応いただいたTorres博士は既に学部長の任期を満了しており、後任の学部長が決定していない状態であるため、協定締結についての話は引き継いでいただけるとのことでしたが、具体的に話を進めることはできませんでした。

 今回の訪問では、新学部長へのご挨拶と協定締結を前向きに進めることについての確認とその具体的な内容の話し合いを行うことを目指し、向かいました(岡山理科大学からは藤井と前回に引き続き、宇根教授が参加しました)。

写真1:新学部長Acorda博士と共に

 新学部長のAcorda博士(写真1)は岐阜大学と帯広畜産大学の獣医学部に留学経験があり、外科を専門にされています。フィリピンの獣医学において、画像診断とエキゾチックアニマルを含む動物への鍼灸治療をリードする存在です。日本に留学されていた経験があることもあり、流暢な日本語で迎えて下さいました。また、協定締結についても非常に前向きで、形だけでなく、きちんと実りあるものにしたいということで、こちらが持参した協定書案について、具体的にどのようなことができるかについて熱心に訊ねて下さいました。その際挙げられた案の一例を以下に列挙します。①長期休暇期間における交換留学プログラムを開催する。因みに、フィリピンは公用語が英語であり、獣医学部が位置するロスバニョスは治安が良いことから、語学留学先として人気があります。春休みや夏休み等の長期休暇期間に英語で獣医学を学べる環境を形成できる可能性があります。②大学間で教員を派遣してそれぞれの専門分野について集中講義を行う。③現在筆者を含めた感染症系以外の共同研究についても模索する(修士や博士のプログラムの一環に組み込むことはできないか)。UPLBは形態学的分類、生態調査やリソース系に強みがある一方、岡山理科大学獣医学部は遺伝子解析や生化学的手法を駆使した研究を繰り広げている先生方が多く在籍しています。また、フィリピン大学獣医学部は、まだ40代の若手が独立准教授としてラボ運営をしている例があるように、活気ある運営体制にあります。共同研究により、両獣医学部の研究の幅が広がるとともに、学生にとっても良い学びの機会が増える可能性があるのではという話が展開されました。

 このように今回の主たる目的である具体的な協定内容についての話し合いを行い、フィリピン大学獣医学部側の要望の詳細について新学部長から直接聞くことができました。次回、吉川学部長にUPLBに赴いていただき、協定書を交わす前準備をすることができたのではないかと思います。

写真2:学生への指導の様子

更に今回の訪問では、予てから行っている共同研究の一環としてフィールドワークに赴きました。今回は修士課程の学生が同行したため、指導の様子についても見学することができました(写真2)。

 

 

写真3:博物館内の様子

また、獣医学部のラボや、大学の博物館の見学をさせていただくこともできました(写真3)。特に博物館については、岡山理科大学獣医学部では博物館プロジェクトというのを行っており、今後の本プロジェクト展開について刺激を受けることができました。

実際の現場を見て、フィリピン大学獣医学部と岡山理科大学獣医学部の研究、教育両面での相互発展についての可能性を模索し、具体的な実現について話し合う機会を持つことができました。このような有意義な機会を与えて頂きましたことに心より感謝申し上げます。

渡航時点ではフィリピンにおけるCOVID-19患者はDiamond Princess号関連者(帰国後隔離施設にて2週間経過を観察し、PCRにより陰性と確認されるまで隔離)と中国からの旅行者(感染確認後、即帰国)のみで、フィリピン国内での発生は0例でした。日本においては、その後の検査で判明したものも含めて191例の患者(国内事例180例、チャーター便帰国者事例11例)、19例の無症状病原体保有者(国内事例15例、チャーター便帰国者事例4例)であり、本格的な流行以前の時期でした。そのため本派遣プログラムにおいては、学長訪問時以外等は極力マスクを着用し、飛行機以外の公共交通機関を利用せず、不特定多数との接触を可能な限り避けることで、SARS-CoV-2への感染リスク抑制に努めました。

 

報告者        
獣医学部 獣医学科
微生物講座 助教
藤井ひかる

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