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ラジシャヒ大学農学部獣医動物学科訪問報告

ラジシャヒ大学の構内

バングラデシュはインドの東に位置する南アジアの小さな国で、北海道ほどの面積に日本1.2倍もの人が住んでいる、人口密度の非常に高い国です。ガンジス川の河口部に位置するため土地が肥沃で、豊かな水資源により古来より米やジュートの生産が盛んです。その豊かさからかつては「黄金のベンガル」と呼ばれていましたが、近年はインフラの整備や貧困対策が遅れており、ヒトと家畜の感染症は同国で大きな課題となっています。特に豊かな水と肥沃な大地は私の研究分野である寄生虫にとっては天国の様な環境であり、バングラデシュで飼育されているほとんどの家畜が何らかの寄生虫に感染していると言っても過言ではありません。当然、バングラデシュの獣医師や研究者は治療・対策に当っているわけですが、根本的な解決への道のりは決して簡単ではありません。

カウンターパートのDr.ラーマン教授(中央)と筆者(右)

私はバングラデシュにおけるヒトと家畜の寄生虫対策の共同研究の樹立を目指しています。その第一歩として、2019年1月4日から9日間、バングラデシュ西部のラジシャヒ州にあるラジシャヒ大学・農学部・獣医動物学科に行ってきました。ラジシャヒ州はガンジス川流域に位置し、バングラデシュでも最も家畜の飼育頭数の多い地域のひとつです。そこでは当然、ヒトや家畜の寄生虫病が多発しています。日本からは当然直行便はありませんから、関西国際空港からタイのバンコクを経由してバングラデシュの首都ダッカへ、さらに乗り換えて目的地のラジシャヒ空港へ飛びます。片道実に24時間、丸一日かかりました。着いた頃にはヘトヘトです。ラジシャヒ大学では大学構内のゲストハウスに滞在し、カウンターパートである獣医寄生虫学研究室のDr.ラーマン教授にお世話になりました。現地での主な活動は研究室の見学や共同研究のための打合せ、大学の農場や近隣の農家の視察を行いました。もちろん、農場の外や日本に病原体を持ち込まないよう、向こうの先生方の指導の元きちんと対策をした上で見学をします。また、日本に留学したいという学生の相談に乗ったりもしました。バングラデシュの学生にとって、日本は最も人気のある留学先のひとつだそうです。今後もそうでありつづけられるよう、我々も努力を続けなければなりません。将来的には現地での共同研究に留まらず、本学でもバングラデシュから留学生を受け入れ、寄生虫検査などの技術移転を行えればと考えています。今回の滞在で、現地の農家や獣医師が困っていること、置かれている状況について概要を知ることが出来ました。また、共同研究の実施に向けた具体的な課題も見えていました。今後はこの機会を生かし、共同研究体制の確立を進めていきたいと考えています。

ラジシャヒ大学の農場の様子

報告者        
獣医学部 獣医学科
医動物学講座 助教
林 慶

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